「なでしこジャパンW杯優勝に思うこと」平元文雄

「なでしこジャパンW杯優勝に思うこと」平元文雄

なでしこジャパンW杯優勝おめでとう!

 

ホスト国のドイツを破り、FIFAランキング1位のアメリカを堂々と破っての優勝は感動的でした。「柔よく剛を制す」じゃないけれど、フィジィカル面で劣るチームがフィジィカル面で勝るチームに勝利を収めるのはなんともいえないですね。

 

相手チームが30本シュートを打っても1本もシュートが入らないこともあるし、味方チームが1本しかシュートを打てなくてもその1本が決まって、1-0で勝つこともある。そういった運というかギャンブル性がサッカーにはある。そこがサッカーの醍醐味でもあり面白いところでもあるように私は思っています。なかなか思っているようには運ばない場合が多いけれども、勝てる望みがあるという点ではラグビーやテニスなどの他のスポーツより確率は高いのじゃないかなと思います。

 

決勝のアメリカ戦ですが、立ち上がり、アメリカに一方的に攻められて、このままではワンサイドゲームかな、もうテレビのスイッチを切ろうかなと思いましたが、耐えに耐えて前半を無失点で終えたのがよかったですね。でも後半からは攻めの形が幾分作れるようになりました。1点取られたら1点返すという脅威の粘りはさすがでした。PK戦での勝利の瞬間は思わず嬉し泣きしてしまいました。

 

今大会の日本のベストゴールを3つ挙げたいと思います。

 

① 準決勝スウェーデン戦の1点目。

右サイドから大野が中に切れ込み相手ディフェンダーをひきつけて、左サイドに上がってきたフリーの宮間にパス、宮間はそれを左足で中に放り込む。中に入ったボールを川澄が相手に競り勝ってシュート。ゴール! 男子顔負けのセオリー通りの展開で素晴らしいゴールでした。大野の中への切れ込みは野洲高校が全国優勝した鹿児島実業との決勝点、起点となった乾(現在セレッソ大阪)の中へのドリブルを思い出しました。

 

② 準々決勝ドイツ戦での決勝ゴール。

中盤の沢から走り出していた丸山へのダイレクトのスルーパス。もしも、0.1秒沢からのパス出しが遅かったら、もし、0.1秒丸山の走り出しが遅かったら、シュートはディフェンダーにブロックされるか、GKの逆を突いたシュートにはならなかったでしょう。本当にドンピシャのパスでした。

 

③ 決勝戦での2点目、同点ゴール

終了3分前でした。敗戦濃厚。もうあれしかないというシュート。宮間の右コーナーキックのボールをニアに走りこんで右アウトサイドで打った沢のシュート。沢は予選リーグのメキシコ戦でもあの位置で宮間のコーナーキックを走りながらヘッドでゴールを決めているから、彼女自身得意としている場所だったとは思いますが、それにしても、何度も言うけれど、あれしかないシュート。彼女の勝負強さに恐れ入ってしまいました。

 

先日、今年から始めているキッズの練習会に地元の幼稚園の女の子が一人、男子に混じって参加してくれました。練習を見ていると、その子は指導者の言うことをよく聞いて、本当にゆっくりゆっくりだけれども、足でボールを大事に大事にさわってさわってゴールまで運んでいました。この子もきっとうまくなっていくだろうなと思いました。

 

30年ぐらい前の話になって恐縮ですが、信楽町雲井スポーツ少年団で女子の指導をしたことがあります。本当に男子に比べると、プレイや体のこなし方に硬さは見られますが、指導者の指示はよく聞いてくれるし、ひとつひとつパスやドリブルの仕方を教えると、たんたんと練習をこなし、学習していきました。だから、すぐに上手になっていきます。男子は基本の習得に時間がかかりますが、女子は飲み込みが早いように思いました。

 

菩提寺でも平成のはじめころは小学校に勤務されていた岡崎先生が中心となって女子のチームを作り、指導をされていましたが途絶えてしまいました。菩提寺サッカースポーツ少年団としては現在、八幡商業でサッカーをしている、Hりさんと、小学2年生のAきさんの2名だけが女子の経験者です。二人ともサッカー大好きです。

 

私は小学校時代では、男子と女子とでは体力的に差異はないと思っています。100m走らせて記録をとれば、女子の方が速いということもあります。

 

保護者や子どもたちには出会うたびに「女の子も入団して」と入団を勧めていますが、なかなか入団してもらえないのが現状です。このたびのなでしこジャパンのW杯優勝を機にスポーツ少年団への女子の入団が増え、サッカーの裾野がもっと拡がっていけばと願っています。

 

最後に菩提寺のサッカーチームは毎年、女子と男子が同じ人数いる。そして、男女が仲がいい、力もそこそこある、そんなチームを作りたいのが私の夢です。