「最近思うこと」平元文雄

「最近思うこと」

平元文雄

 

 久しぶりに山本周五郎の小説「さぶ」を読み返してみました。

 読後の感想は、つねにあたたかい「人間肯定の思いやり」これにつきます。

年甲斐もなく、何度も涙してしまいました。

 私は山本周五郎の小説が大好きです。他の作品の中でも、やくざな人間をも突き放したりしません。人間のすべては性善なのだという作者の愛情を感じます。

さて、昨年度の6年生は、それまで見てくださっていた村上コーチが海外出張されるということで、急きょ、宿谷コーチが後を引き継いでくださいました。

6年生は全員で19名ということで団員数が多く大変だったと思うのですが、宿谷コーチは、「6年生一人ひとりを伸ばしたい」「大事にしたい」という取り組みを一年間通してやり通してくれました。よく、前後半メンバーを総入れ替えしたと試合後のコメントでは表現されていましたが、その通りでした。

 子どもたちの中に最初は不協和音?(ベストメンバーで試合をしたら・・・など)があったでしょうが、コーチがぶれずにやり通されるなかで、子どもたちの中にそのやり方や布陣が定着したように思います。そういった布陣でも結果につながっていたのも大きいのですが・・・。チームとしてみんなでやるんだという意識が徐々に芽生えていったように思いました。年度当初は、いじめらしきものも見られたのが、その後なくなりました。私はこのような指導姿勢がよい方向につながったのではないかと思っています。

 最近気になることは、同じチーム内で、子どもたちが、子どものランク付けをすることです。特に技術的に上手な子が技術的に未熟な子を見下してしまう傾向があります。「お前とは一緒のグループになりたくない」とか、「一緒に練習したくない」などです。

 確かに技術のうまいへたはあると思います。しかし、サッカーだけでなく、団体競技のよさというのは、弱点をカバーしあうことだと思うのです。

 私が、「お互いに励ましあうことが大事」「いいところを褒めあおう」「いいチームをつくれよ」と、よく言うのはその意味からです。

 勝ちというのを前面にした場合、どうしても技術や体力が未熟な子は切られてしまいます。子どもたちの意識のなかにもそれが当然だという意識が芽生えてしまいます。でも、それはダメなんだということを示してやるのが、やっぱり、指導者に求められると思うのです。どの子にも伸びる可能性はあるのです。私は難しいことではありますが、それを子どもたちが意識してほしいと、そう思っています。その意味で宿谷コーチの総入れ替えは素晴らしかったと思います。

 うまくても、「いばるな」「いじめるな」このことは社会生活を送る上で大事だと思うのです。

 退団する子が最近、何人か出てきて、退団の理由を尋ねてみると、

「嫌なことをされた」「嫌なことを言われた」とかが出てきます。

以前は少々いじめられても、「我慢して、そんなこと乗り越えないと、これからやっていけないよ」という指導だったと思うのですが、やっぱりこれは間違っていると思うのです。力なき、弱者も同じようにスポーツを楽しめる雰囲気を作ることが今、スポ少にも求められているのだと思います。


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コメント: 1
  • #1

    保護者A (日曜日, 28 4月 2013 07:15)

    監督の想い、HP上への書き込み、ありがたく思います。
    保護者として、スポ少は「技術向上」の前に「人間形成」の場でもあって欲しいと願っています。「技術向上、勝てばOK」的な考えであれば、あえてスポ少を選ぶ理由もなく、県内にも数多くのクラブチームがあります。であれば、そちらを目指して頂く方が共にハッピーになれるのではないでしょうか。
    事実、それに違和感を感じ、去られていく親御さんも多いと聞きます。
    また、スポ少の親の負担(当番)が嫌だからクラブチームへ通わされているという同じ地域在住の方もいらっしゃいます。これも残念ですね。
    また、最近よく出てくる〝いじめ〟は絶対に看過してはならないと思います。
    これにもいろんなパターンがあり、子供達だけでなく、親、指導者との関係もあると思います。言い換えれば、パワハラって事でしょうか。これでスポ少の間口を狭くしているとすると、残念でなりません。ひょっとすると、指導者の方の中には、自分は教育者ではない、指導者だと言われる方がいらっしゃるかもしれません。でも、ここはスポ少です。
    試合でも他校の指導者で、子供達に対し、誹謗、中傷と思われる言葉を軽く口から発せられている指導者の方を見かけますが、すごく気分が悪くなります。時代錯誤も甚だしいです。そんな言葉ひとつで子供達が上手くなるとでも思っておられるのでしょうか。単なる自己満足であり、大人として恥ずかしくなる時があります。どんなに技術があり、強いチームより、人への思いやりができ、挨拶がきちんと出来るチームの方がよっぽどかっこいいチームだと思います。
    そんな〝団〟を目指してほしいとここに祈念致します。
    長文、大変失礼しました。