「グラウンドに礼」平元文雄

「グラウンドに礼」平元文雄

 招待試合などで本部テントにいますと、招待チームが全員そろって挨拶にきてくれます。挨拶が終わると、踵を返して、「グラウンドに礼」と言って、グラウンドに向かって礼をするチームを多く見かけます。

私は「グラウンドに礼」が好きではありません。日本には一礼の文化(セリエAで長友選手がゴールを決めた時のお辞儀パフォーマンスは有名になりました)があり、当団でも、試合が終われば、試合の送迎や準備をしていただいた保護者の方には、子どもたちと指導者と全員並んで、「今日一日ありがとうございました」と一礼します。最近ではありきたりの挨拶ではなく、6年生なら、試合の感想や次に向けての思いをキャプテンに考えてもらって言ってもらうようにしています。このように感謝の気持ちを伝える人への一礼は心のゆきかいがあります。コミュニケーションが形成されているように思います。

でも、「グラウンドに礼」などのものに対する一礼は、コミュニケーションが形成されていません。いわゆる指導者の押し付けになってしまいます。私は、「グラウンドに礼」があるのなら、「空に対して礼」、極論を言えば、「サッカーボールに対して礼」「サッカーゴールに対して礼」があってもいいと思っています。

ものに対しての一礼は、まったく悪いことではないと思いますが、全員、右へならえ方式でするものではなく、子どもたちが大きくなった時に、それぞれがつかみとったらいいのではないかと思っています。そんなことから、全員そろって一礼するのは、当団では行っていません。

どうしてもやりたいのでしたら、子どもたちになぜするのかを話してからすべきであって、説明なく指導者が押し付けるのは、やはりおかしいのではないかと私は思っています。

 なぜこんなことを思うかと言うと、私が小学校に勤めていた時にプール開きがあって、進行の先生が、「プールに向かって礼」と言われたことがありました。プールサイドにいた子どもたちや先生方もびっくりして一礼していました。私もしていたのですが、なぜか違和感をおぼえたものでした。このプール開きの一礼には、「子どもたちの安全を願う」祈りが入っていたと思うのですが、それならそれで、子どもたちに説明があってしかりだと思ったものでした。


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コメント: 1
  • #1

    藤田コーチ (水曜日, 10 6月 2015 20:34)

    私も、選手達から、随分前に、

    うちはしないの?

    聞かれたことがあります。私は、君たちが人にきちんと挨拶するようになったら、考えみてね、

    そう答えた事を思い出しました。