「読書の秋」平元文雄


「読書の秋」平元文雄

 本当に暑かった夏が過ぎ去り、朝夕、涼しくなってきました。秋シーズンの到来です。

 秋は「食欲の秋」「読書の秋」とか言われます。

 私は、秋の夜長、読書にいそしんでほしいなと思っています。初版が20年も30年も前の本ですが、できればサッカーの指導をされている方に読んでいただければと思い、2冊の本を紹介させていただきます。サッカーの本ではありません。

 1冊目は河合雅雄さんが書かれた、「サルの目ヒトの目」です。

河合さんは日本の霊長類学者です。ユング心理学者の河合隼雄さんが実弟さんです。 

 本のとっかかりはサルの生態のことが述べられて、後半は河合さんの思いをつづったエッセイの様な気がしました。

 ニホンザルはなわばりを持ちます。なわばりによる攻撃性、排他性、競争心が見られます。そうではなく、なわばりを持たないゲラダヒヒなどの協調性路線、おおらかな集団との違いなどはとても面白いでした。

 もう1冊は、西岡常一さんの「木のいのち木のこころ」です。

 西岡さんは宮大工の棟梁として、法隆寺の解体修理や薬師寺再建の仕事に携わ った方です。

「木は生育の方位のまま使え」

「堂塔の木組みは木の癖で組め」など、とても勉強になりました。

 千年の木は材にしても千年持つ。これは今まで知らなかったです。法隆寺はもう1300年持っているのです。その他、教育の問題など、示唆に富むいろいろな話が聞かれました。スポ少のサッカーを指導していくうえでも、とても参考になることが述べられているように思います。

 私が読んでみてよかった本を2冊あげましたが、私がよかったとしても、本を読まれる人にとっては「な~んや、これ」といった本もたくさんあります。読み手の思いや関心・興味が個々それぞれに 違うからです。この2冊も「な~んや、これ」と思わ れるかもしれません。その際には、どうかご容赦のほどを。


 読みたいと思われた方は近くの図書館で本を借りてみてください。ちなみに書店でも注文できます。

・「サルの目ヒトの目」 河合雅雄 平凡社ライブラリー文庫

「木のいのち木のこころ 天」 西岡常一、塩野米松 新潮OH!文庫 または「木のいのち木のこころー天・地・人」 西岡常一 小川三男 塩野米松  新潮文庫