「小先生方式」平元文雄

「小先生方式」平元文雄

 もう40年前のことです。

 

 私が新採で勤めた学校の先輩が、組合の郡(当時の甲賀郡)分会長会へ行かれた翌朝、私にこう話しかけられました。

 「平元さん、昨日すごい先生に出会ったわ」「頭はきれるし、筋が通っている。内容もとても分かりやすい」だいぶ前のことですが、今でもしっかり耳に残っています。

 すごい先生とは一宮先生でした。当時は組合の役職をされていたのでしょう。もう、お亡くなりになられているのですが、郡内の中学校で英語を教えられていた先生です。

 一宮先生は、英語の授業の中で、「小先生方式」を取り入れられました。いわゆる生徒が先生になって授業を展開する方法です。どれぐらいの時間、生徒が先生役として進められたのか、その内容はどうだったのか、私は知らないですが、理念として、「生徒が主人公」というキャッチフレイズそのものの指導であったと思います。先生がねらわれたのは、おそらく、教える人=先生、教えられる人=生徒という構造を見直したかったのではないでしょうか。心ない保護者から、「先生の代わりに生徒が教えている。先生楽やで。」という声もあったでしょうが、そんな圧力にも負けずに素敵な実践をされたなと私は思います。先生も生徒の先生役のまとめをしなければならないし、前もっての下準備も大変で、普通の授業よりも忙しかったことと思われます。

 

 このやり方をスポーツ少年団の指導に取り入れられないかと、私は思っています。低学年や中学年では無理でしょうが、5、6年の高学年ならば、指導の中身を絞ればできるのではないかと考えます。

 

 菩提寺サッカースポーツ少年団では、何年か前から、1年生から6年生まで、全員そろっての練習では、全体練習といって50分ぐらい、ボールを手や体や足で触れる練習を取り入れています。進行は、最初は 指導者がしていましたが、最近では6年生のキャプテンを中心に行っています。

 だいぶ軌道に乗ってきましたので、私は、進行を6年生で順番を決めて回したいこと、その日の担当にあたった人は、新たに一つだけ、ボールに触れる練習内容を考えて実施するということができたらと思っています。

 これが実現できれば、一宮先生が行われた「小先生方式」の縮小版になるのではないかと考えています。

 やらされる練習からやる練習へ。そのことが子どもたちのモチベーションを上げることにつながるのではないかと・・・。

 この土曜日、6年生は試合です。コーチのお二人が、仕事とケガで欠席される確率が高く、引率は私一人になりそうです。

 そこで、子どもたちに会場での練習内容から、試合のメンバー決め、お昼の時間の設定まで決めてもらおうかなと思っています。さてどうなるか、楽しみでもあります。