「滋賀県スポーツ少年団育成会(母集団)研修大会・講演内容まとめ」平元文雄
●演題:「子どもの力を引き出す大人のおきて10」
●講師:京都サンガFC 育成・普及部長 池上 正 先生
講演全体を通して私が一番に感じたことはサッカー指導者として、子どもたちに対する目線が上から見下ろしていないことでした。
子どもたちにわからせる指導、もっと言うと、子どもたちがわかる・楽しい指導に心がけられておられるなと思いました。
最初にDVDを見たのですが、小学校への出前授業が出てきます。小学校5年生の子どもたちにサッカーの授業を展開されるのですが、初めにされた子どもたちへのグループ分けからすごいんです。池上さんが手をたたきながら、その回数を聞かせて、その回数分の人数の組を作られるんですね。子どもたちは生き生きと活動していきます。その活動に色を付けて、たとえば、グループの中に女の子を一人必ず入れるといった条件を付けられたりして活動を膨らませていかれるのですね。そうした活動を経ながらサッカーをするチームを作っていかれるのですね。楽しい遊びの要素を入れながら持っていかれるのはさすがだなと思いました。
それでは、池上先生の講演要旨を報告させていただきます。私の講演メモからです。十二分に先生の意を伝えられないかもしれませんがお許しください。
「指示待ちの子」が多い。「どんな練習をするの」と尋ねてくる子が多い。自分で考えない。答えをすぐにほしがる。
コミュニケーション能力が低い。公園にも子どもだけで行かない→変な人間が出てくる。
【大人のおきて10】
①失敗する勇気を引き出す。
チャレンジを認める。失敗が怖くなくなる。
②模倣させる。
「見て、やって」できないから練習するのであって、「なんでできないねん」などと言わない。
③ほめてから考えさせる。
「惜しい」だけじゃなくてどこをどうしたらうまくいくやろと、問いかける。できないことを指摘するコーチが多い。「何してんねん」という言葉かけは子どもの創造力をなくす。
④成功のイメージを抱かせる。
コーチがやってみる。結果を急がない。手順を間違わない。日本の子どもたちの運動能力が落ちている。→いろんな遊びを経験していない。
⑤寄り添う大人になる。
「なんでやろな」と一緒に考えてあげる。
⑥トゲトゲした言葉は使わない。やわらかい言葉を。
命令口調はやめる。「さーやるよ」「はじめていいよ」など。
⑦子どもの心の中をさぐる。
「なんでパスせーへんかったん」→「なんでそうしたんか」「なんでそうしなかったか」を聞く指導者に。
⑧集中させる雰囲気づくり
楽しいとふざけるのとは違う。練習の質を考える。簡単な練習と難しい練習とミックスする。練習を休みがちな子をどうするのか→練習していないから試合に出さないのはダメ。大好きなサッカーができないのはつらい。試合に来たら私は使う。子どもの人権、みんな使うのが普通。特にヨーロッパ(ドイツ)では。
⑨数字で刺激する。
練習メニューを数字で提示。たとえば、3C-対面パス。簡潔にしゃべることが大事。
⑩?
「どうですか」「どうだった」など子どもの気持ちを聞く。そのことで子どもたちが前向きになる。
【脳科学者 茂木 健一郎氏 育ての極意】
①あえて教えない。
②ひたすら待つ。ただし観察しながら。
③芽が出たのを見つけたら握手、賞賛(やったー)。
④自主性、自発性の回路を育てる。
⑤安全基地になる→応援団に徹する。欠点を受け入れる。困った時こそ手助けする。後悔のすすめ。(悔しさから前向きになる)
とても分かりやすいお話でした。こんな指導ができればと思いました。
一つ気になったことがあります。それは講演のタイトルです。「おきて」という言葉は講演の内容からするとそぐわないのではないかと思いました。「おきて」という言葉はなぜか私は高圧的に感じ取ってしまいます。もっとやわらかい言葉で、たとえば、「心がけ」ぐらいに抑えられたらよかったなと思いました。
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