「ふくらむということ」平元文雄

「ふくらむということ」平元文雄

 みなさん、ほっぺをふくらませてください。また、元の状態に戻してください。

 

 ありがとうございました。


 サッカーにおいてふくらむということはとても大事だと思っています。

 

 先日、5年生の練習で3人1組でパスの練習をしていました。右サイドの子がボールを持って真ん中にいる子にパスを出し、パスを出した子は真ん中の子の後ろを回りながら左サイドに移っていくのです。左サイドの子は真ん中の子からボール を受けて右サイドに進んでいきます。それらを繰り返しながら前進していく練習でした。(言葉だけの説明ではわかりにくいですね。すみません。)

 

 このパスの練習は私の大学時代にもやりましたし、私がスポ少の指導者になってからもよく取り入れた練習でした。そのあと、この練習を発展させて外にふくらんだ選手が中へボールを折り返して、中にいる選手や逆サイドにいる子のシュートにつながる練習もしていました。

 

 「もっとふくらんで」コーチの声が響きます。

 

 サッカーは基本的にはボールの奪い合いのゲームです。ボールを相手より早くさわって自分のボールにしなければなりません。ボールへの寄りは直線的な動きです。

 

 でも、ボールを受けるということもサッカーでは大事です。
 ではふくらむということについて考えてみましょう。

 

 たとえばキックです。インステップキックなどはボールに対して斜めに助走をとることで、キックがやりやすくなります。ゴールキック、コーナーキック、フリーキックなど、ボールの後ろからまっすぐ入って蹴る子はほとんどいないでしょう。腰を入れてボールを遠くに飛ばすには、やはり斜めから入るしかないのです。この斜めから入るのも、私はふくらみの一つだと思っています。

 

 また、コーナーキックにおいても、ボールを受けるときにはやや曲線的に入り込んで、ボールを受けることが多いです。さらに、グラ ウンド中央で味方がボールを持った時に、サイドの選手に外に開けというのも、ふくらむということの一つだと思うのです。

 

 この間子どもたちを集めて、「どうしてふくらむことが大事なの」と尋ねると、ある子が、「中へ切り込みやすい」と言いました。間違いではないですね。ふくらむことによってスペースができるのですから、中への切り込みもやりやすくなりますね。


 私はふくらむことには3つの利点があると考えます。

 

①キックがやりやすくなること。
②ボールを受けるときに、ボールはいつも決まったところに来るとは限りません。いろんなボールに対応できること。
③視野の拡大。ふくらむことで中の様子がより 把握しやすくなること。

 ラグビーでもボールを持つ選手が相手をひきつけておいて湾曲したコースをとって走り、相手を外側にぬいていくことがあります。スワーブと言います。バスケットボールにおけるスクリーンプレイなどもまさしく曲線の動きです。

 

 子どもたちに、直線の動き、曲線の動きを取り入れていってほしいと思い、今日は書いてみました。