「信じて待つこと」平元文雄
入団式も終わり、今年度の活動が始まりました。
今日は、一昨年11月に亡くなられた俳優高倉健さんのことに触れてみたいと思います。
『幸福の黄色いハンカチ』『鉄道員(ぽっぽや)』『ホタル』『あなたへ』など数多くの作品に出演されているのですが、私は、『幸福の黄色いハンカチ』が一番心に残っています。
舞台は北海道夕張です。刑期を終えた中年男(高倉健)が、行きずりの若いカップル(武田鉄矢と桃井かおり)とともに妻(倍賞千恵子)のもとへ向かう姿を描いた「健さん」主演の映画です。
「自分を待ってくれるなら、家の前に黄色いハンカチを掲げておいてくれ」と妻と約束するのです。
あの最後のシーン、ロープにくくりつけられた幾枚もの黄色いハンカチがたなびく光景を私は感動を持って観ました。
希望と勇気を与えられたシーンです。山田監督は『信じて待つ』ことの大事さをこの映画で伝えたかったのではないかと思いました。
高倉健さんのエッセイ集もいいです。『あなたに褒められたくて』『旅の途中で』『南極のペンギン』などを書かれています。健さんの人柄がにじみ出ていて素敵です。
私は、それらの中で、『あなたに褒められたくて』に収められている『西表の青年・由五郎くん』が好きです。
健さんが西表島にスキューバ・ダイビングに行かれるのですね。その中でガイド役をされた由五郎くんと健さんとのやりとりがいいのです。健さんが休憩時、西瓜を食べ、食べ終わった西瓜の皮を海に捨てるんですね。振り向くと、由五郎くんが皮をビニール袋にためている。健さんが、「どうして、それ海に捨てないの」と尋ねると、由五郎くんは、「海汚したくないっすから」と答えます。「俺は魚のエサになると思ってポチャポチャ海に捨てていたけれど、なぜ注意してくれないんだ」と由五郎くんにせまります。
そのあとの由五郎くんの言葉がいいのです。『言うと押しつけがましいし、我々漁師仲間だけでも、そうしようって決めたんです』と。
このお話にも私は感動しました。
最後に健さんの名言を披露して終わりたいと思います。
「人生っていうのは、人と人との出会い、一生の間にどんな人と出会えるかで人生はきまるんじゃないですか」
「身を捨てても悔いのないという人間に出会ったかどうか、そういうことじゃないのか。分らないですが。僕はそう思ってやっていますけどね。」と。
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