「グリーンカード」平元文雄

 U-12リーグが湖南市親水公園グラウンドで行われた先日、菩提寺の前の試合を見ていると、その試合の中で「グリーンカード」が提示されました。

 

 それはこんな時でした。相手コーナーキックになったボールが自陣ゴール裏に遠く流れて行きました。
そのボールをDFの一人が取りにいって自陣コーナーに待つ相手選手に渡したのです。
 中学生以上の年代になると、「そんな相手ボールをわざわざしんどいのに取りにいくか」という心境になるのが普通だと思います。しかし、小学校年代では試合に無心になって臨んでいる場合が多いので、そんな損得勘定を度外視した今回のようなプレイが見られることがあります。


 これは素晴らしいプレイだと私は思います。


 私ももし主審をしていたらその選手に「グリーンカード」を提示したいと思いました。
 このカード提示には主審がコートの中、外に関わらず、子どもたちのフェアなプレイを評価してあげたい気持ちが、まず、なければならないということと、そのカードをいつでも出せる余裕を持っていなければということが大事であると思います。
 今回カードを出された主審はそういう条件を充たされていたのだと思います。素晴らしい主審でした。
 イエローカードやレッドカードは「そんなプレイはだめですよ」という注意を喚起する、どちらかというとマイナスのカードだと私は思っています。私は小学校年代ではレッドカードはできるだけ出さない方向でという思いをこのコーナー(サッカーの思い出「レッドカード」)の中で書いてみました。
 しかし、「グリーンカード」は「そのプレイはいいですよ」というその子にとってプラスのカードだと思っています。だから必要に応じて、どしどし提示してあげてほしいと思います。
 たとえば、よく試合で強いボールがお腹に入って呼吸ができなくなり、うずくまる選手がいます。仲間の選手がかけよって背中伸ばしをするプレイをよく目にします。この仲間の選手には「グリーンカード」を提示してあげてほしい。もし、相手チームの子どもが、その子に「大丈夫」と一言声をかけるのを主審が耳にしたとしたら、その子にも「グリーンカード」を提示してあげてほしいと思います。

 

 一人審判になり、あれもこれも見なければならないので、主審は大変だと思いますが、「グリーンカード」の積極的な活用に心を配っていただければと思います。
 そして、試合が終了して両チームが整列した時に、試合の勝ち負けやスコアを伝えるだけでなく、「グリーンカード」をもらったチームをほめてあげてほしいなと私は思います。