『「ありがとう」のキャッチボール』平元文雄

『「ありがとう」のキャッチボール』平元文雄

 昨日の日曜日は全学年、菩提寺小学校での練習でした。


 練習が始まる前に三つの話をしました。


 一つ目は4年生以下の大会、チビリンピックのブロック予選敗退の話でした。県大会には行けなかったけれど、みんな少しずつ上手になっているから、次の目標に向かって、頑張って練習しよう、と声をかけました。

 

 二つ目は今日もサッカー体験に4年生と1年生が一人ずつ来ていたので紹介しました。初めてで何もわからないだろうから、周りの人が優しく教えてあげてね。みんなが優しく接したら入団してくれるかもしれないよ、と。

 

 そして三つ目はサッカーのめざすものは、『「ありがとう」のキャッチボール』かもしれないという話でした。今思うとあつかましい大それたことを言ったものです。

 

 なぜそう言ったかはこれから書いてみたいと思います。

 何年か前の湖南市杯での出来事でした。
 菩提寺チームのコーナーキックで5年生のまさゆきくんがコーナーキックを蹴りました。ゴール前にいたゆうきくんがヘディングでゴールを決めました。
 そのあとなんです。彼はガッツポーズをするわけでもなく、一目散にあるところに駆け出しました。みなさん、どこへ駆け出したと思いますか?彼はコーナーキックを蹴ったまさゆきくんのところへ真一文字に駆け出したのです。
 そして、まさゆきくんに「ありがとう。ナイスボール」と声をかけたのです。
 この言葉は私は聞いていないのですが、その試合の主審をされていた他チームのコーチの方からお聞きして知りました。そのコーチの方も、あまりに感激したので、自分のチームの子どもたちにも伝えてみるとおっしゃっていました。
 私はこのプレイは、菩提寺SSSとして語り継がれてほしい宝だと思っています。

 もう一つ紹介させてください。


 今の6年生にゆうやくんという子がいます。
 彼が試合後の更衣を素早くすませた後、ボールケースに残っているボールを一個ずつ取り出し、仲間に投げ渡す光景を何度も目にしました。
「けんしんくんボール」と言って、その子にボールを投げ渡します。キャッチしたけんしんくんは「ありがとう」と言葉を返します。
 自分のボールではないのです。仲間のボールなんです。自分のボールぐらい自分で片づけよということには反しますが、私はこの行動も大事にしたいものだと思っています。

 サッカーは相手や仲間を思いやる競技です。今日書いた様なことが、練習や試合の中で一つでも出てきてほしいな、と思っています。

 童話作家である斎藤隆介さんの本に「花さき山」があります。ぜひともご一読ください。