「琵琶湖と諏訪湖」平元文雄

 今回もサッカーのことではありませんが、最後まで読んでいただければ嬉しいです。

 滋賀県民なら誰しも知っていると思われる「琵琶湖周航の歌」が100周年を迎えたということです。この歌の優しい、穏やかなメロディーを耳にしますと、湖水の上にプカプカと浮かんで空や山を眺めているような気分になります。そして明日も頑張ろうと。宴会などの閉めの曲として私は最高の歌かなと思っています。

 

 ところで、今年の夏に長野県の諏訪湖へ行ってきました。第一の目的は原田泰治美術館でした。私は原田さんの丁寧な日本の風景をとらえた絵が大好きだからです。

 見学を終えてから湖畔を散策しました。諏訪湖は周囲16Kmで、湖の周りは道路が整備されています。散策されている人、自転車走行されている人、ジョギングされている人など多くの人を見かけました。

 

 この諏訪湖と滋賀の琵琶湖とでは大きさこそ違いますが、共通点がいくつかあるように思われます。まず自然環境です。琵琶湖は比良比叡の山が眺められますし、諏訪湖は南西の岡谷市あたりからだと霧ヶ峰や八ヶ岳が眺められます。美しいです。

 

 二つ目はそれぞれの湖に流れ込む川はたくさんあるのですが、湖から流れ出す川は一つだということです。(そういえば琵琶湖には疎水もありますね)琵琶湖の水は南郷洗堰を通って瀬田川として流れ出します。諏訪湖の水は岡谷市にある釜口水門を通って天竜川として遠く太平洋まで注ぎ込んでいきます。

 

 三つ目はお叱りを受けるかもしれませんが、琵琶湖も諏訪湖も水が汚れていることです。琵琶湖でいいますと、南湖の大津市立粟津中学校前の湖岸は昔は海水浴場だったということが私の持っていた昔の地図には記載されていたように記憶しています。今では考えられないことですね。南湖そのものはだいぶきれいになってきたんじゃないかなとは思っているのですが・・・。諏訪湖も地元の人に聞いたら、昔は泳げたんですよとおっしゃっていました。

 

 その諏訪湖の水が流れ出す釜口水門の近くに小口太郎さんの銅像と「琵琶湖周航の歌」の歌碑があるのです。その隣にはスイッチがあって、それを押すと「琵琶湖周航の歌」が流れ出す仕組みになっています。諏訪湖畔で「琵琶湖周航の歌」とはと思うのですが、「琵琶湖周航の歌」の作詞者小口太郎さんがこの岡谷市出身だからそれを記念して建立されたのだと思います。それで納得しました。これも地元のおじさんの話なのですが、小学校の時、学校でこの「琵琶湖周航の歌」を歌ったとおっしゃっていました。

 

 100年も前にできた「琵琶湖周航の歌」が取り持つ縁と言ったらなんですが、私は、大津市と岡谷市が友好都市になって、お互いの湖水の水質浄化や水質保全という課題に取り組まれたらいいのになという思いで今夏の旅を終えました。

 

 自然を愛することは人間を愛することにつながる。逆に人間を愛することは自然を愛することにつながると私は思っています。なぜなら、仮に自然を動植物を含め生命体の総称とするならば、人間も自然の一つと言えると思うからです。