「はじめてのアルバイト」平元文雄

 筒井頼子さんの文、林明子さんの絵で「はじめてのおつかい」という素敵な絵本があります。5才のみいちゃんが初めてお金を握りしめておつかいをするお話です。坂道で転んでしまったり、お店のおばさんとのやりとりをしたり、坂下で赤ちゃんを抱いて待っているお母さんの姿などが描かれたりしています。

 さて、今日は私の体験談です。「はじめてのおつかい」をもじって「はじめてのアルバイト」と言うタイトルにしました。

 サッカーの話ではありませんが最後まで読んでいただければ嬉しいです。

 

 あれは私の小学校高学年か中学生の時のことだと思います。私の家の向かいの家によく遊びに来ておられていたWさんから「新聞配達してくれないか」と頼まれました。引越しされるみたいで配達できるかわりの人をさがしておられたようでした。私はなぜか二つ返事で引き受けました。夕刊でしたが学校もあったので、おそらくしたのは夏休みの間だけだったような気がします。

 新聞なんてうちでとっていた朝日新聞しか知らなかったのですが、私の配達する新聞は京都新聞と産経新聞の夕刊でした。30部ずつぐらいでしたでしょうか、配達区域は水口の町なかというか市街地でした。

 新聞店でそれぞれの新聞の部数を数え、大きな包み紙でくるんで自転車の荷台に黒のゴムバンドでくくり付けて各家を回りました。

 当時は新聞受けをおいておかれる家が少なくて、玄関の戸の隙間からスーと入れ込むことが多かったです。京都と産経の2種類だったので、入れてしまってから、「今のどちらだったかな」と思うことがありました。不安になると、少し余分は持って行っていたので、二つとも入れることも時にはしていました。

 一度大失敗をしたことがあります。

 もうちょっとで終わりになる時に、でこぼこ道で私は後ろに積んでいた新聞を落としてしまったのです。新聞が抜けてしまったのです。包んでいた新聞が少なくなっていて、ゴムバンドで止めていたものの、ゆるくなっていたのでしょう。また、運の悪いことに落としたところは水たまりのある穴ぼこだったのです。当時はまだ舗装道路が少なかったのです。

 その後、店に戻り、理由を説明し、店の人からおしかりを受け新しい新聞を受け取り、残りの配達をし終えたと思うのですが、その記憶は残っていません。記憶として残っているのは、落とした場所と水のたまった穴ぼこです。記憶って不思議なものですね。

 その後はロープの締まり具合などを注意しましたので、このような失敗はありませんでした。

 

 サッカーをしている子どもたちへ

 失敗しておぼえていくことも数多くあるのですよ。 さー チャレンジ チャレンジ。