「心遣い」平元文雄

 今日もサッカーのことではありませんが最後まで読んでいただければ嬉しいです。

 

 少し前になりますが、草津で映画「わたしの季節」の上映会があり出かけました。

 

 映画「わたしの季節」は第2びわこ学園(現びわこ学園医療福祉センター野洲)の利用者さんの生活を綴ったドキュメンタリー映画です。映画を観ての感想を書き記したいと思います。撮影は第2びわこ学園が南桜から北桜へかわる少し前の利用者さんの様子が中心です。びわこ学園が移転したのは2004年ですから、もう15年前のことになります。私もそのころ、学園内の学校に勤めていただけにとても懐かしかったです。

 

 いっぱい感想があるのですが、三つにしぼりたいと思います。

 

 一つ目は粘土室で粘土作業をされる園生さんです。ひたすら自分の顔に粘土を塗りまくられます。私なら、「もうやめて、目や口に入ったらどうするの」と言ってやめさすでしょう。でも指導されている田中さんはじっくりと、本人がやりたいということを大事にしながら待たれるのです。

それと感心したのは、よく練った後、切り取った粘土の土台の上にお湯を注がれるのです。冷たい粘土の感触ではなく、少しでも気持ちの良い感触を味わってもらおうという心遣いを私は感じました。吹かれていたオカリナの音色も素敵でした。

 

 二つ目はダイスケさんが西棟から学校へ登校されるシーンです。彼は寝たきりでストレッチャーでの移動です。西棟の天井がしばらく映ります。彼が見える世界をカメラは追いかけます。でも、その天井に季節の飾りつけがしてあるのです。これにも私は感動しました。壁に飾りつけをしているところはあるでしょうが天井にしているところは他の病院や施設にもないと思うのです。ここにも暖かい心遣いを感じました。

 

 最後三つ目は野洲校舎の先生方のベッドに寝たきりの子らへの関わりです。手前味噌ですみません。とてもやさしい音楽に合わせての指の体操です。手の体操ではなく指の体操なのです。親指から小指まで一本ずつ、指に触れながら指をほぐしていかれるのです。

 

 この取り組みも音楽の旋律のやさしさとともに心遣いを感じました。

 

 初代園長である岡崎先生の、「本人はどう思てはるのやろ」という名言が学園の職員さんや学校の先生方にも脈々と引き継がれ、息づいている映画だなと私は思いました。