「招待試合に思うこと」平元文雄

 雲井サッカースポーツ少年団で10年、菩提寺サッカースポーツ少年団で30年と、スポーツ少年団に関わらせていただいて早40年が過ぎ去ろうとしています。「また昔のことか」と思われるかもしれませんが最後まで読んでいただければ嬉しいです。

 

 私の大学生時代、甲賀市の信楽町にある朝宮小学校のグラウンドではすでに子どもたちがボールを蹴る姿が見られました。今から50年近く前のことです。甲賀ブロックの中では子どもたちへのサッカーの指導は信楽地区が一番早かったのではないでしょうか。そのような経緯からか、小原小学校や雲井小学校などの小さな学校が、県の大会で優勝するという快挙を為しとげています。指導者が熱をこめて指導なされた賜物だと推察します。


 前段が長くなってしまいました。今日は招待試合のことについて少し触れてみたいと思います。


 スポーツ少年団では団と団との交流を深めるということで招待試合が実施されています。近年、団員の減少や、各年代におけるリーグ戦の実施などで、招待試合の日程調整が難しくなってきたように思います。今まで二日日程で実施できていた大会が、一日実施になり、それに伴って参加チームも絞り込まねばならない、夜の懇親会は取りやめといったことが増えてきました。時代の流れと言えば流れなんでしょうが、私は少し寂しい気がしています。
 招待試合には実施される団の理念が表れます。「何を大事にしようとされているのか」を垣間見ることができるのです。それを見て取り入れられるところは取り入れようとしてきました。

 

 たとえば、日野SCカップでは参加チーム全部にトロフィーが用意されます。大会の戦績ではなく参加いただいたことを感謝しよう、これからも交流よろしくという気持ちが表れています。

 唐崎カップでは、お昼のおいしいうどんのおもてなしや、記念品として毎年いただくボールを入れる袋の他、大会要項の最後に記載されている大会を協賛される地域の医院や商店名などに地域と一体となった大会の姿が重なります。さらに試合の審判をOBの方が審判服を着てしてくださる姿にも感銘を受けます。

 大宝カップも6年生ではなく3年生をターゲットとして大会をくまれる姿勢に、サッカーをやり始めた子どもたちにサッカーを楽しむ場を提供しようという姿勢を感じとることができます。

 

 菩提寺は何かあるでしょうか。あえてあげるとしたら、私は近隣のチームを必ず招待してきたことではないかと思っています。
 「地域の子どもは地域で育てる」という標語がありました。暮らしやすい心の通った社会にするためにはこの標語の理念は大事だと考えます。社会教育として存するスポーツ少年団の活動もその一翼を担っているのでしょう。私はそう思っていましたが、近年、クラブチームが増え、そちらに流れる子らが増えてきました。子どもたちの選択肢が増えてきたのはいいことだと思いますが、長年スポーツ少年団の活動に携わってきたものとしては一抹の寂しさを感じています。

 

 もう一つ言いたいことがあります。それは保護者の意識が変わってきたなと思うことです。「しんどいことはやめよう」という意識です。確かに共働き家庭も増え、しんどいことは極力減らさなければ、整理しなければならないと思いますが、「これだけは大事にしたい」ということについては前向きに協力し合って取り組みたいなと私は思うのです。