「ホームステイ」平元文雄

 前回、招待試合のことに少し触れてみました。菩提寺サッカースポーツ少年団にとって県外チームで長い間おつき合いが続いているチームに辰市FCがあります。


 交流が始まったきっかけはわかりませんが、毎年夏に行われる奈良サマーカップにはいつも招待いただいています。最初の頃は3日間の日程で、最終日は1試合だけだったものですから、3日目は試合の後、辰市小学校で交流試合をさせていただいていました。また、菩提寺には甲西町杯(現湖南市杯)や菩提寺杯に来ていただいていました。
 辰市FCは奈良市の南部に位置する辰市小学校がベースのチームです。交流した初めの頃は辰市小学校のN先生が代表をなさっていて、先生をサポートされていた指導者の方々もみんな魅力的な方ばかりでした。
 辰市チームは白のユニフォーム、昔でいうウイングに足の速い子がいて、その子がボールを運んでチャンスを作り、中に折り返すというオーソドックスな攻撃と粘り強い守備が持ち味のチームを毎年作られているように思いました。
 交流が深まる中でお互いの招待試合の時に、それぞれのチームの子をホームステイで受け止めようということになりました。残念ながら今では途切れてしまっていますが、当時の子どもたちにとっては忘れられない貴重な体験になっていることと思います。
 菩提寺の子らが辰市の子らの家に泊まった翌日の第一声は「むちゃくちゃ大きい家やったわ」でした。確かに当時泊まらせていただいていた辰市FCの子どもの家は田んぼの中に居を構える昔ながらの大きな家が多いようでした。一方、菩提寺は新興住宅地の子が多く、核家族であり、部屋数もそんなには多くない家が多かったと思います。菩提寺の子らにとっては一泊でも知らない人の家に泊まるということで、その地域の「生活文化」を感じ取ったと思うのです。


 この体験は試合だけでなく、大きな体験になったことと思います。


 子どもたちはすぐに仲良くなります。どの家も子どもたちを受け止められるとは限りませんし、宿泊先での夕食もカレーライスでそろえるなど、条件も均一にしましたが、受け止めていただいた保護者の方にとっても印象深かったことと思います。あるお母さんが、その後こんなことを言っておられたのを思い出します。「うちに泊まった子、今年の高校選手権大会に出るんやて、応援するわ」

 

 辰市FCの現代表の横井さんとは、また、こんな交流ができたたらいいなーと何年か前話していましたが、いろんなことを考えると、現実的には難しいでしょうね。残念です。