「見事なトライ」平元文雄

 現在、ラグビーW杯が日本各地で行われています。日本開催ですので開始時間も早いですのでテレビで観戦した子どもたちもいることでしょう。藤田監督も見られたのでしょう。「ラグビーも面白い。また、見いや」と、子どもたちに練習前、話されていました。
 ロシア戦、アイルランド戦、サモア戦、スコットランド戦と日本代表は予選リーグを4勝して勝ち上がり、W杯史上初めてベスト8の戦績をおさめました。残念ながら準々決勝の南アフリカ戦は負けてしまいましたが、本当に大健闘でした。日本中がこの健闘に沸き上がり、多くのラグビーファンを生み出したことと思います。
 私も高校時代にラグビーに関わったものですから(楕円球を追いかけたこと)、この大会を興味を持って観戦しました。
 松島選手や福岡選手の快足を飛ばしたトライも素晴らしかったですが、私はスコットランド戦の稲垣選手のトライに感動しました。稲垣選手のポジションはスクラム第一列(プロップ)です。スクラムを組むだけでも疲れてしまうポジションです。ラックともなれば真っ先にボールの接点に飛び込んでいくプレイヤーです。そのプレイヤーが長い距離を走り、つないだつないだボールを最後にゴール中央にタッチダウンしたのです。ゴール前ならまだわかります。体重116キロの稲垣選手が
あれだけ長い距離を走り、サポートしてトライを決めたのです。本当に見事なトライでした。感動と勇気を与えてくれたトライでした。
 ところでテレビ観戦された人は日本代表に多くの外国選手がいるなーと思われたことでしょう。ラグビーの代表は国籍主義ではなく所属する協会主義なんだそうです。主将を務めたリーチマイケル選手は帰化されていますが、当該国で3年以上継続して居住していると代表の資格がもらえるのだそうですね。これもラグビーらしいいいところだなと思いました。
 ラグビーでは試合終了のことをノーサイドと言います。試合が終われば敵味方はないということです。これもラグビーらしいいいところですね。試合が終わって、敵味方なく、お互いの健闘をたたえあっている姿はサッカー以上のスピリットを感じました。
 日本サッカーの父とよばれたクラマー氏の名言に『サッカーは少年を大人にし、大人を紳士にする』というのがありますが、ラグビーにもこれがあてはまるなと思いました。
 最後に南アフリカ戦が命日だったというラグビー前日本代表監督だった平尾誠二監督の著書『人を奮い立たせるリーダーの力』を紹介して終わりたいと思います。最後に書かれている奥様、恵子さんのメッセージも感動ものです。是非ともお読みください。